ここでは、就業規則に関する問題点や疑問点、活用のポイントなどを、ごく簡単にですがまとめてみました。
Q 就業規則とは何ですか?
A 就業規則とは、その事業所の様々な決まりごとについて明文化されたルールブックです。ですから、就業規則はその事業所の法律であり、憲法であると言えるでしょう。
Q 就業規則は必ず作らないといけないものでしょうか?
A 労働基準法では、「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁(労働基準監督署)に届け出なければならない。」となっています。したがって、常時10人未満の事業所には、作成義務はないことになります。
Q 上記の「労働者が常時10人未満の事業所」なのですが、それでも就業規則は作っておいたほうが良いのでしょうか?
A はい、そのとおりです。
なぜなら、就業規則はその事業所の法律であり、憲法だからです。
国民の数が少ないからといって、法律や憲法のない国家は存在しません。同様に、従業員が少なくても、きちんとしたルールを作ることが大切です。
また、就業規則がないと、何か問題が起こったときに基準となるルールがない為、問題に対応できません。(特に10人未満の小さな事業所様こそ、問題が起こったときのダメージも大きいはずです)
リスク管理の観点からも就業規則は、従業員が10人未満でも作成するべきと言えるでしょう。
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Q 就業規則には、どういったことを記載しなければならないのでしょうか?
A 労働基準法により、就業規則には、次の事項などを記載するよう定められています。
これらのうち、1~3の事項はいかなる場合でも就業規則に必す記載しなければなりません(絶対的必要記載事項)。
また、4~11の事項は、定めをおく場合には必ず就業規則に記載しなければなりません(相対的必要記載事項)。
なお、これら以外の事項についても、その内容が法令又は労働協約に反しないものであれば任意に記載することができます(任意記載事項)。
これらの内容によって就業規則は成り立っているのです。
Q 就業規則の内容は、会社独自のルールなのでどんな規定を作っても良いのですか?
A いいえ、就業規則の内容は、その内容が各種法令や当該事業場に適用される労働協約に反してはなりません。
これらに反する就業規則は、その部分について無効となります。
例えば、「○○に違反した場合、違反1回につき3日分の給与を減額」という減給の制裁を定めたとします。しかし、労働基準法では、罰則として減給できる限度額が次の通り定められています。
減給の限度額
(1) 1回の額が平均賃金の1日分の2分の1
(2) 総額が1賃金支払期における賃金総額の10分の1
したがって労働基準法が優先され、「3日分の給与を減額」といった規定は無効となり、「1日の平均賃金の半額を減額」となります。
就業規則は、法令や労働協約に違反しないように留意し、かつ職場の実状にあったものを作成する必要があるのです。
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Q 就業規則の内容にあまり自信がないので、従業員の目に付かないところに保管してあります。問題ないでしょうか?
A いいえ、大いに問題ありです。
労働基準法によって、就業規則は周知する義務が定められています。できれば労働者の一人ひとりに就業規則を配布するぐらいのことが望ましいのですが、少なくとも各職場の見やすい場所に掲示するとか、
あるいは労働者がいつでも見ることができるような場所に備え付けるなどの方法により、労働者に就業規則を周知させなければなりません。
大切なのは、自信を持って従業員に見せることのできる就業規則を作っておくことなのです。
また、すでに在籍している従業員に就業規則の内容説明をする機会を作ることも重要です。
新たに採用した従業員には、採用時や初期研修時に内容説明をしておくのが良いでしょう。
Q 就業規則の中で、給与や退職金に関する部分は「別途、給与規程による・退職金規程による」というような表記で、就業規則に記載していない会社が多いようですが、問題ないでしょうか?
A はい、問題ありません。
別で、給与規程や退職金規程などという形で作成すれば良いのです。この場合広い意味で言うと、この「別途の給与規程や退職金規程」も合わせてひとつの就業規則となります。したがって、労働基準監督署などに提出する際には、この「別途の給与規程や退職金規程」も、セットで提出する必要があります。
また、事業所様によっては、「別途、給与規程による」と記載しておきながら、肝心の「給与規程」が存在していないというようなケースも、時々見受けられます。もちろんこの場合、きちんとした「給与規程」を作らねばなりません。
Q パートタイマー2名・正社員8名の事業所です。就業規則は正社員を対象とした内容のものとなっておりますが、問題ないでしょうか?
A これは、問題があります。
就業規則は事業場で働く労働者の労働条件や服務規律などを定めるものです。そこで働く全ての労働者についての定めをする必要があるのです。
なお、例えばパートタイマーのように、通常の労働者と異なった定めをする必要がある場合には、通常の労働者に適用される就業規則のほかに、パートタイム労働者等一部の労働者のみに適用される別個の就業規則として「パートタイム労働者就業規則」を作成することとしても構いません。
当事務所では、一般的な就業規則以外でも、前述の「給与規程」や「退職金規程」、「パート労働者就業規則」等、あらゆる形態の規則に対応可能です。
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